とある歴クラ見習い審神者の備忘録

調べたこと・面白かったものと、自分が調べるときにあったら便利だったなと思うまとめを置いておく場所

徳美「尾張徳川家の雛まつり」/江戸学講座「慶応三、四年の尾張藩」

ということで、徳川美術館行ってきました。
次の名刀展の前まではこの「尾張徳川家の雛まつり」の展示です。
(長義目当てに3/26~4/7に来たらこっちも見れますよ)

ちなみに…美術館には「そろいぶみ」なチラシ見当たりませんでした。
本当に映画館用チラシだったのね…w
waterseed.hatenablog.com

なお徳美さんは展示室での撮影NGです。
なので展示品の画像紹介は公式twitterを埋め込み表示で。
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テーマ「尾張徳川家の雛まつり」は毎年恒例なので似たようなものが出ているんですが、年によって若干違いがあるので、その差を見るのも楽しいのです。
たとえば去年は犬筥の中が見れる状態だったりとか。

今年、とくに刀剣勢におすすめしたいのが、福君の雛道具にある刀のセットです。
鑑賞してどうのとかではなく、手のひらサイズくらいなのにちゃんと刀なのがとてもかわいいのです。
(一昨年の講座で聞いたのですが、地元刀工の作だとか)
そして拵と豪華な刀掛けもセット。

毎年出てる子ですけど、この足をひょいっと上げたわんこが好きです。可愛い。
(大きなひな壇の中にいて見落としがちなのが残念…横に三つひなが並んだところの、左下あたりにいます。たまにはこの子達に注目して見てみたい…)

あと、関西の人にはおなじみなんだろうけれど去年「?」となった裸雛、今年も蓬左文庫に出てました。
土人形で、男雛も女雛も裸、笏と扇だけ持ってるやつです。
住吉大社の授与品なのだとか)

と、しょうもない感じのことばかり書きましたが、展示意図としては第五展示室(常設展示室で、奥道具が展示)に置いてある福君の嫁入道具を見て、そこからの流れで第七展示室(特別展示の一番広いところ)に行って、同じお道具のひな人形版を見る、という方向かと。
福君の御道具、嫁入道具といっても尾張藩側で用意したものじゃないかという話が一昨年の講座でありまして、その後論文もネット公開されたので興味がある方はぜひ。
御道具の紋を付け替えて再利用するという話は聞いたときちょっとびっくりしたんですが、今と違って「特別な工芸品」ではなく「豪華な日用品」ですものね…
金鯱叢書 | 出版・刊行物 | 調査・研究・教育 | 名古屋・徳川美術館
吉川美穂「俊恭院福君の婚礼と菊折枝蒔絵調度」第45輯(平成29年度刊行)PDF7~10p,69~119p

あと同じく一昨年の講座の中で聞いたのですが、雛道具の貝桶の貝はしじみですか?と聞かれるけどちゃんとハマグリですとのことでした(笑)

今回、蓬左文庫のほうは「旧家のひなまつり」ということで、裕福な町人の雛飾りが並んでいたんですけど、姫君の雛飾りと並んでいるお道具の種類の差が面白いなと思いました。


今回の本命は、江戸学講座「慶応三、四年の尾張藩」藤田英昭氏です。
尾張藩の幕末がどんな状態だったのかはこっちの記事でめちゃざっくりと書きました。(従来的な見方ですが)
waterseed.hatenablog.com

江戸城無血開城に先立ち、尾張藩では佐幕派の大量処断を行った上で周辺諸藩・諸寺に勤王の「説得」をしました。
今回の話はこの大量処分について、従来慶勝の苦渋の決断として書かれてきたものが、周囲の人物によって推し進められた結果では?というような内容でした。
就任時の状況の話も含め、だいぶ印象が変わってきますねー。

ちなみにこのあたあり、もう論文出てるんですが、気づいてませんでした。
徳川林政史研究所
徳川林政史研究所 研究紀要 第52号 (2018年3月発行)『金鯱叢書』第45輯 所収
藤田英昭「慶応四年前後における尾張徳川家の内情と政治動向」

あと慶応三年の時点で慶勝の子が立て続けになくなった話は論文読んで知ってたけど、三人だと思ってたよ。毎月一人ずつ四人だったの?という驚き…
(こちらも論文ネット公開されております。藤田英昭「慶応三年における尾張徳川家の政治動向」今回の講座はこの二本の論文を砕いて説明してくれた感じかな)


帰り際に売店に寄ったら、とても気になる本がありました。
蓬左文庫の方が書いた本で『名古屋と明治維新

いい本ないって言ってたの取り消します。(まだ読んでないけど)
読みやすいかはともかく、一次史料持ってる研究機関の方が出したものならそこまではずれないと思うので。
でも価格を考えたら一般書分類だし、見本をめくってみた感じだと読みやすそうでした。
(サンプルマーク付きの見本が売店にあったので気になる方は徳美行ったときに見てみてください)

入門用にはこっちの図録もおすすめ。
tokugawa.shop-pro.jp


そういえば今回、講座で隣の席にいらした方もお仲間さんだなーと思っていたら、ブログ読んでくださってる方というミラクル…!
ちょっと照れますなw
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