とある歴クラ見習い審神者の備忘録

調べたこと・面白かったものと、自分が調べるときにあったら便利だったなと思うまとめを置いておく場所

2019刀ネコ 刃物オフ@名古屋

刀剣ネットコミュニティ、通称刀ネコさんの刃物オフに参加してきました。
刀ネコ (@TouNeko2801) | Twitter
一言で言うと、日本刀を中心にしつつ、周辺分野まで取り扱う鑑賞オフ会です。
参加者のうち有志が持ってきてくれた品と、主催が用意してくれた品を鑑賞します。
今回は変わり種だと軍刀(登録証あり)がありましたし、先回参加したときにはナイフも出展されていました。募集要項を見ると古式銃もありらしいです。
もちろん、特に何ももっていなくても参加できます。
元年度 刀ネコ刃物オフ 名古屋 参加者募集 - 装剣金工・刀身彫刻 片山重恒 修行日記
今回は名古屋での開催ですが、元々東京と大阪で定期的に開催されています。

このオフ会、刀を手にとって見たことがない方には全力でおすすめしたいんですよ。
参加必須の初心者講座がセットになっているので、前提知識ない状態からでも安心して参加できます。
「マナー」と呼ぶと堅苦しく聞こえますが、「鑑賞対象を損ねない」「自分や人を損ねない」ための、交通ルールと同じようなものです。
この会での講座では、なぜそうすべきなのか、なぜやってはいけないのかを理由付きで分かりやすく教えてもらえます。
そして実際に持つ前には、模擬刀での練習タイムもあります。

まあ、そんなことを書きつつも、実は今回私刀そのものは鑑賞していないんですが…。
ちょっと体調不良で握力が弱っていたので。
なので刀装具と実演コーナーのほうにかぶりついていました。
(それでもあっという間に時間終わっちゃうんですよ)


まずはこれ、一見普通の刀身彫刻に見えませんか?
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小刀なんです…(小柄に付くあれです。)
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写真として一番わかりやすいのを撮らせていただきましたが、ほかに間近で見てもまだよくわからなくて、ルーペをお借りしてようやく超絶技巧ぶりがわかるような作品も。
頭おかしい!(誉め言葉)というレベルのをたくさん見せていただきました。
手に取って見るものに使うルーペは事故防止の意味で樹脂製推奨なんですが…刃物オフで存分に見るためだけに買っても惜しくない気がします…。


ちなみに、このオフ会の主催をされているのが装剣金工の片山重恒さん。装剣金工 片山重恒 / Katayama Shigetsune (@shigetsune) | Twitter
精悍な日本号写しの彫金をされた方です。
他に有名な作品だと、全国を巡回している「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」のアスカ透かし彫りですかね…?
刀装具コーナーは片山さんご所持のものを多数見せていただきました。

で…片山さんところの外弟子二号さんが作成された鐔がものすごく素敵だったんですよ。
(買いたいって思うのどれ?って聞かれたら間違いなくこれ推します。)
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鐔のデザインは、単に正面から見て美しければよいというものではなく、刀につけて腰に差したときが完成形なのだとか。
更には、重心が左右どちらかに偏りすぎてもよくないと。…確かに重さで刀が変な方向向いたら厄介ですものね。

(そういえば「鏨の華」展のときにも学芸員さんがある作品を指して、鐔として使うことを想定されていないからもしコンクールに出てきたら選外にするとおっしゃっていたことが…)


粘土を使った折り返し鍛錬ワークショップの結果はこんな感じに。
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そして残鉄部分からは謎の卵が産まれる…w
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そしてayayaさんによる柄巻き実演。ayaya(柄巻師 弥仙) (@ayaya1001) | Twitter
使われているの、持ち運び用の実演台だとおっしゃっていて、ここにひととおりの道具収納して運ぶのかしらと思っていたら、撤収時には板のあつまりになっていてびっくりしました…。
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柄巻きのときには和紙を入れて三角の形をつくる、という話は聞いたことがあったんですが、ずっとどう使うのかわからずにいたんです。
それを今回見せていただきました。
事前に和紙を何重にも折って糊で端をとめたものを用意してあって、それを長方形に切ったものを目打ちで角を折り込みながら巻きこんでいくんですね。
小道具つくるためになんちゃって柄巻き挑戦した方、私含め紐をひねった形がうまく決まらなくて困った形少なくないと思うんですが、その部分の土台に紙が入ることで、紙のふちにそって紐をひねることになるので、形がしっかり決まる模様。
体験仕様の簡易技として、柄の両サイドに両面テープを貼って巻いていく方法と、中に入れ込む紙を「長方形を折って使う」のではなく「長方形の角を落として歪な五角形状にして使う」方法を教えていただきました。

ayayaさん、『尾張拵・柳生拵: 刀装研究』の表紙デザインをプリントしたTシャツを着ていらしたのですが、うかがったお話の元はこの本見たらわかるよーとのこと。
この本、去年の兼定展のときの刀装具解説でもおすすめ本として紹介されつつ、当時は入手困難だったものなんですが、kindle版が発売されたので、読むだけならとても読みやすくなりました。とてもありがたいことです。


あと、こちらは写真撮っていないんですが、軍刀コーナーで、装備方法含めて見せていただきました。
FGOの竜馬さんが下げてるあの下げ方です。
私がまざる前の時点で装備させてもらってる方がいたんですが…装備用のベルト、普通のファッションアイテムのサッシュベルトに見えてたので、途中で装備してることに気づいてびっくりしました。
制服のスカート短くするためのゴムベルトと同じ仕組みの金具で、中央に来る部分がきらきらしたレリーフ状になっている感じ。


二次会はホテルでのビュッフェです。とてもおいしかった…
そしてなぜか二次会内で、今度出す予定の考察本ちょこちょこと宣伝させていただきました。

ということで、とても充実した一日をすごすことができました。
ありがとうございました。