とある歴クラ見習い審神者の備忘録

調べたこと・面白かったものと、自分が調べるときにあったら便利だったなと思うまとめを置いておく場所

徳川美術館「もじえもじ/尾張藩邸物語」

気になる講座があったので徳川美術館に行ってきました。
時々勘違いしている方がいますけど、名古屋にあるほうですよー。
(一度水戸と共同で「うちはこっち!」キャンペーンをしたらいいのにと全力で思います)

今回聞きたかった講座は原史彦先生で、講座タイトルは企画展と同じ「尾張藩邸物語」
ぶっちゃけ講座のテーマは何でもよくてですね…この先生が話すなら何でも面白いの確定なので。
毒舌ぶっちゃけ系で、難しい話もかなりかみ砕いてくれます。

今回一番びっくりしたのは、講座に並んだ人の数!
いつも、「講座開始ぎりぎり頃には、最後列まで埋まる。ただし3人掛けのテーブルは真ん中が空く」くらいの状態だったと思うんですけど、今回開場直後からそんな状態なんですよ。さらに補助椅子も後ろとサイドに並んでる。

お話のメインは、尾張藩の江戸にあった藩邸のうち主要なものが、時代によってどのように使われ方が変わっていったのかおいかける感じでした。
前段として、明暦の大火のことが出てきまして…江戸の町の燃えた範囲が地図で示されたんですけど、思っていた以上に広かった…
大火以前の江戸の藩邸は、小さな城のようなもので、戦国の気風を残す派手派手しい感じだったという話も意外でした。逆に大火以降は皆がイメージするような質実剛健系になるのだそうで。
派手派手の例として、江戸東京博物館に復元模型のある松平伊予守邸が挙げられてました。模型の写真が掲載されているサイトがあったのではっておきますね。
松平伊予守江戸上屋敷 | 文化財工学研究所

尾張藩江戸屋敷、いっぱいありすぎてびっくりでしたよ!幕末の頃で43もあったとか!!
(二次創作の中で適当なこと書いてすませちゃったやつ後で消しておかねば…)
このあたりの資料は、徳川林政史研究所の研究紀要からのようです。ネット公開もされてるやつ。
徳川林政史研究所研究紀要
2014『大名江戸屋敷の機能的秩序』渋谷葉子氏

藩邸の話なので、幕末期に撮られた写真のことも出てきましたよ。
殿様が撮影者だからこそ撮れた、「殿様の私室」の写真。
普通そういう場所を撮らせてもらえないというだけでなく、当時の技術的にすごく困難なことをしているという話がありまして…。
当時のカメラでは、普通は室内では撮れないそうなんです。言われてみれば確かに!
電気のついていない日本家屋の中とか、一眼でだって結構苦労しますよ。
もうちょっと後の時代ですけど、明治時代の写真館とか、光を取り込むために天井をガラスばりにするような努力してますし。
高田小熊写真館|エリア別建造物|文化財|園内の楽しみ方|博物館明治村
改めてすごいなーと思いました。
ちなみに、当時の写真技法については、技法を再現した写真館のレポを見るのがわかりやすいかと思います。
甦る古典撮影技法 湿板写真館がオープン:銀塩手帖:カメラファン | 中古カメラ・レンズ検索サイト/欲しい中古カメラが見つかる!

ちなみに、11月からの企画展が、写真をとったお殿様、慶勝公がテーマです。
徳川慶勝の幕末維新 企画展 | 特別展・企画展 | 展示 | 名古屋・徳川美術館
会津公・桑名公(要は新選組の上司)とご兄弟でありながら新政府側として動くこととなった、とても激動の人生を送られた方です。
なのでぜひ幕末クラスタにも見ていただきたく…!
(ちなみに、現存する鯰尾藤四郎の拵もこの慶勝公のものですよー)


講座の感想と関連事項はこの辺で。
講座が終わった後で展示室を回ってきました。

常設の1室目、武具のコーナーは、「もじえもじ」に合わせて刀身彫刻のあるのが並んでました。
…それ以外ちょっと覚えておりません。今回、常設はあとから見ようと思って忘れてました。どうせまた来るし、いいかというのもありますが。


蓬左文庫のエリアで企画展「尾張藩邸物語」
尾張藩邸物語 秋季特別展 | 特別展・企画展 | 展示 | 名古屋・徳川美術館
蓬左は、実は徳美であって徳美でないというか、名古屋市博物館の別館扱いです。なので名古屋の歴史関連の展示が多いのだとか。
今回が初展示だという図面とかありますよ。バカでかすぎてこれまで飾れなかったとかいうカーペットサイズの…w
内容に対する驚きは、正直講座のほうで先に来てしまったので先に展示を見てから講座を受けるべきだったかなとも思うんですが、一つ「何やってるの」という物が…
ネガポジ反転する技法で撮った風景…をさらに撮影して無理やりポジ像にしたガラス板(飾り用途)…
やりたいことはわかるけどさ…!


旧館エリアで企画展「もじえもじ」をやっていました。
もじえもじ―文字が絵になる、絵が文字になる― 秋季特別展 | 特別展・企画展 | 展示 | 名古屋・徳川美術館
…正直、単眼鏡を忘れたことをすごく後悔しましたよ!
細かな文字で点描的に描いた絵とかがある…!一部拡大したパネルとかはあるけど、他の部分も見てみたい!!
あと、葦手文字という、文字を鳥の形や草の形で表したものが提示された後に、ゴージャスな太刀拵がありましてね…
何かと思ったら、その葦手文字でお歌が書かれているらしいのです。
言われてもわからないよ…すごく凝った拵えだなとだけしかわからないよ…
でも、「よくよく探すと文字が絵になっている」から「よくよく探すと絵の中に文字がまぎれてる」、さらにはいかにもな判じ絵まであっていろいろ面白かったです。

この展覧会は10/28までの開催ですよー