とある歴クラ見習い審神者の備忘録

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徳美 賛助会の日

参加してきました。素敵な品を見せていただきました。
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とだけ書いても何が何だかと思いますので、まず賛助会とはなんぞという話から。


徳川美術館さん、何度も来館する層向けに、会員制度が二種類、賛助会と友の会があります。
サイトが若干わかりづらいんですが、上部メニュー[美術館について]→[会員制度、寄付、寄贈]→[賛助会]or[友の会]でたどり着けます。
賛助会 | 会員制度、活動支援基金 | 美術館について | 名古屋・徳川美術館

刀のためだけに何度も通いたい人には、友の会でも十分おいしいかなと思います。
年間6600円で、特別展のときは1回のみ入場可、それ以外のときは何度でも入場可、機関紙と催し物のお知らせを自宅に送ってもらえます。(特別展は年に2~3回程度あります)
講座の類も、一般よりかなり割引されます。
(講座の日が特別展会期のときは、講座受講証を持っていると友の会の回数制限外になったりします。)
会員期間は何月に入っても3月いっぱいまで有効ですが、10月を過ぎて入会する場合割引があります。
図録は割引があります。

賛助会は、お値段が上がって27500円と、かなり差があるんですが、刀以外の各ジャンルも追いかけたい方や学芸員さんとお話をじっくりしたい方にはメリットしっかりあります。
まず、特別展のときにも回数制限はありません。特別展で図録が発行された場合、一冊いただけます。(ただ、他館との共同のときには割引だけのときもあるらしい)
一年間有効なチケット5枚がついてきます。
講座の割引率は友の会より高く、抽選になった場合は友の会より優先されます。
売店の販売物が図録以外にも一部割引になるらしい…ですが対象がよくわからないです。)
会員期間は、入会月から一年間です。
企画展や特別展の前に内覧会を行う場合、招待していただけます。(同伴者1名同行可。基本は会期の前日かと思います。)
年に一回、賛助会の日があり、そこで特別鑑賞と懇親会が行われます。
で、この内覧会と賛助会の日は、学芸員さんが確実にいらっしゃるので、直接お話をするチャンスなのです。

元々、こういった話を聞いて、友の会の期限が切れる次の春から賛助になるつもりでいたんですよ。
なんですが、風のうわさに、追いかけてる学芸員さんが、他に移られるかも、という話が聞こえてきまして…。
もし遠方に行っちゃったら、お話聞くのに一回だけでそのくらいかかっちゃうので、今のうちにお話しできる機会増やそうかなと思いまして、急遽賛助会に入会しました。(なお、名前の掲示は遠慮しました。決して人数多くないから特定されたりすると嫌だし。)

賛助会の日、多分イメージ的には株主会みたいな感じですかね。
館長によるご挨拶と、半期のご報告会があって、そのあとに特別鑑賞会、最後に懇親会という流れで。

ドレスコードは指定ないんですが、主な層が余裕のあるおじさまおばさま方です。
素敵なお召し物の方も多い中なので、綺麗目カジュアル~お茶会用の服装までの範囲だと安心していられるかなと思いました。

この特別鑑賞会、「何が出るのか」どころか「どのジャンルから出るのか」すら当日までわかりません。
ですが、ケース無しで所蔵品を鑑賞できると案内に書いてあったので、楽しみにしていたんです。ものすごく貴重な機会ですし。
なんと今回、刀も対象に含まれていました。

今回特別鑑賞会の対象となったのは三点、重文 天皇摂関御影上巻、国宝 津田遠江長光、国宝 初音蒔絵料紙箱です。
どの品も、台の上に設置してあって、そのすぐそばまで近づいて眺めることができるというスタイル。(もちろん触ってはいけません。)

津田遠江長光は、来年の大河ネタである明智光秀所用なので、皆の興味をひける、というセレクションだったようです。
更には、普段と違って、刀のように置かれ、はき裏を見ることができました。
ここ最近、津田遠江長光展示のときって、ライティング見づらくて刃文よくわからなかったことが多いのですが、今回はっきりと見ることができました。
蛙子丁子がもくもくしてる…。
帽子は少し見づらいものの、探せばピンポイントで見える位置がありました。三作帽子でしたっけ?少しだけだけど内側にのたれ気味かなーっていうのも見えました。
一緒にいた知人は、狂言長光の科白にあるとおりの刃文になっている、という感激のしかたをしていました。

合わせて折紙と白鞘も見せていただきました。
折紙の裏側の印、存在は知ってましたけど、初めて目にしましたよ。(かつての偽造防止印が裏側にあるのです。)
白鞘は、尾張の木はばきのやつです。…本当、なんではばきまで一体化したもの作ろうとおもったのか不思議に思う代物ですよ。

天皇摂関御影上巻は、今年のしばらく前に蓬左で展示されていた、歴代天皇をずらずらずらっと横に並べて描いた絵です。
ガラスケースごしのときにはそこまで注意してみていなかったんですが、今回間近で見ると、なんか白っぽい部分は絵の具が剥落したような跡があり、これはひょっとして模様が書いてあったのかなという気配が見えたり、逆にしっかり絵の具が残っている部分はおそろしい細かい書き込みが楽しめました。

国宝 初音蒔絵料紙箱、どの辺かはわからないんですが、いずれかの辺のうち右下の端のところにある格子模様の細工がおそろしく細かくて綺麗でした。
知らないと単眼鏡で狙わないような場所の好きポイントがみつかるのってとてもいいなって。


実はこの特別展覧の時間に並行して、呈茶席が設けられています。そちらでも床の間や棚に所蔵品が飾ってあり、お茶をいただいた後で見せていただけます。
お茶をいただく時間は、受付のときに渡された紙に従う感じです。
お茶の心得ないので後から知人から聞いた話なのですが、これは細かな礼儀までは気にせずいただいていいタイプのお席なのだそうです。
といっても、茶道系統の心得が全くないと、ちょっと困惑する感じでした。
・お菓子がたくさん入った器と懐紙を渡されたら懐紙を一枚とってお菓子をのせ、菓子の器を隣に渡す
・お菓子をいただいてお茶がくるのを待つ
・お茶を飲む
というくらいの流れはチェックしておいたほうが慌てないかもしれません。


そのあとは、宝善亭での懇親会です。
案内に軽食とか書いてあったので油断していたのですが…全然軽食じゃない…
ビュッフェ形式なのに盛り付けがすごく上品できれいで、お味も美味しかったです。
対象層が層だけにお上品にちょっとだけいただかなきゃとか思ってたの忘れて、おなか一杯になるまで食べちゃいました。
(お品も次から次にいろんなものが追加されてきて、そのどれも美味しいんですよ…)

一応この時間は、学芸員さんや広報の方なんかも会場内を歩いているので、お話をしっかりできるタイミングでもあります。
何を言ったかは伏せますけど、刀に限らない内容で、広報や、初心者向けもろもろなんかの要望を出させていただきました。
そして同じように何を聞いたかも伏せますが…感触として、あって助かった広報や、好ましい内容とかは、応援メッセージ伝わるようにしないとマイナス意見に負けてしまいかねないのかなという印象を持ちました。ええ、次からは「これ嬉しかったです」があったらこまめに意見箱いれようかと思いましたよ。
新たに刀の専門的な話の勉強を始められた先生もいらして、しかもその先生のご専門は、刀とある種近いけれどこれまでクロスオーバ的な研究があまりされていない部分でしたので、是非とも今後、専門分野部分を生かしつつの講演とかしてほしいなと楽しみにしております。

以上、素敵体験の記録でした。
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