とある歴クラ見習い審神者の備忘録

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創作メモとしての刀の手入れ方法

正確に理解しきったとはいいがたいのですが、「観賞用」と「武術用」それぞれでの刀のお手入れ方法を教えてもらったので、創作のための参考として書いておきます。

※実物の扱いについては、専門家にご確認ください。

 

 

お手入れの一番の目的は、錆を防ぐことです。

武術用として使った後に手入れを怠ればもちろん錆びますし、鑑賞用であったとしても長期間放置しておくと、油が変質したり、ほこりを招いたりして逆に錆の原因になってしまいます。

これを防ぐために古い油を取り去って、新しい油を塗ります。

 

美術品としてのお手入れは年1~の低頻度です。(具体的な最低頻度は教えてくれる人による感じで)

あと、鑑賞をおこなう際にも、塗ってある油が邪魔になるので、同じように油をぬぐい、終わったら塗りなおすという手順を行います。

まずは、拵もはばきもすべて外して、刀身だけにします。(横着して付けたままにしておくとよろしくない理由があるらしいのですが、おぼえてません。)

 

油を取り除く方法が、大きく3種類ほどあります。

 

  • 打ち粉

ぽんぽんするあれです。

砥石の粉で油をふき取る、一番伝統的な方法です。ふき取りには揉んで柔らかくした和紙を使います。(ここ、正確には個別の紙の名前まで指定されると思います)

伝統的な方法ではありますが、なれていない人間が下手に行うと、刀身を傷つけてしまうおそれがあります。特に彫りのあるものは危険だとか…。

 

カメラのレンズをぬぐうようなやつですね。刀用の専用品とかもあるようです。

 

液体なのでいやがる方もいるそうですが、便利らしいです。

 

 

揉んだ和紙は、高級ティッシュで代用できます。(むしろ最近はそっちが主流だとか)

繊維が柔らかく、なおかつ柔軟剤等が使われていないものがよいそうです。

話を聞いていると「ティッシュとは」と真顔になりそうなお値段のものもちらほら…

 

油を取り除いた後の刀はとても繊細で、唾が飛んだり、ちょっと触れただけでもみるみる間に白いさびが出てしまうそうです。時代劇なんかで懐紙を咥えているのはそのためですね。

鑑賞の時も、おしゃべり厳禁なのはもちろん、会によってはマスクの着用を求められるところがあります。

 

古い油を取り除いたら、新しい油を塗り直します。

よく丁子油といいますが、実際は丁子使ってない油のほうが多いようです。

あと、機械油派がいたり椿油派がいたり…

詳しい話はこのあたりをご覧ください。

『日本刀手入れの定番製品「丁子油」は最強の錆止め油か』

日本刀の刀身に塗る油あれこれ - Togetter

でもまあ、作中小道具として出すなら昔ながらのほうが雰囲気あってよいですよね。

丁子=クローブなので、独特な香りを知りたければスーパーのスパイスコーナーへどうぞ。

椿油も、体のお手入れと刀のお手入れ一本でいけるからそれはそれでよいんじゃなかろうかなどと思います。

 

 

今度は武術用のお手入れの話。

こちらは使う都度行います。

あと、私は借り物でやったのであれなのですが、鑑賞用同等のお手入れも適宜していると思います。(あるいは砥ぎが必要になるからそのときにやるかな?)

更に、この手のものって指導者によって方法は様々だと思いますので、あくまで一つのやり方ということで。

 

居合で使うときには事前に油を除いたりしないので、鑑賞の時ほど扱いについて厳しく言われることはありません。

なんなら、素手で刀身に触れるような所作だってあります。(もちろんこれも流派次第でしょうが)

試斬の対象である畳表や青竹も、水分を含んだ状態のものを斬ります。

 

美術方面の丁重さを知っている方には驚きだと思いますが、お手入れには、絞ったタオルと乾いたタオルを使っていました。

拵はつけたまま、汚れを絞ったタオルで拭いて、乾いたタオルで乾拭き。

油を塗っておしまいです。

(うっかり怪我をして血が入り込んだりしたら拵もはずして行います)

傷がつくんじゃないかと言われたら、たぶんつくと思います。

そもそも鑑賞用の研ぎ方をしていなかったりしますし、斬るのに使えば刀身へのダメージもあります。

 

ということで、美術系と武術系、片方しか知らない状態だと、もう片方に対してだいぶギャップを感じるのではないかなと。

 

 

 

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