三島たびろぐ2・雅楽ワークショップ
今回の三島旅の目的の一つは雅楽ワークショップでした。
三島のたべものがかりさん主催、雅楽団体である伶楽舎の方を講師にお迎えしての試験実施的なイベントです。
【先着順】雅楽WS開催!【1回完結】
— たべものがかり (@volksIzu) 2020年1月22日
2月1日(土)20時〜22時/2日(日)14時〜16時/参加費¥2000
/定員8名/講師は伶楽舎所属
23日朝までDMを解放します。参加希望の方はそちらへ。定員になり次第〆切。2時間前から開場します。開催自体は試験的ですが講義内容はちゃんとしてます。#三島とうらぶ2020 pic.twitter.com/sUNwLirLDJ
会場は三島市内の、現個人宅(ひょっとしたらそのうちレンタルスペース的になるかも?な場所)でした。
ですので、中心部で、歩いていくのに簡単な場所だった、とだけ。
まずは雅楽とはなんぞというお話から。
なんかお正月に流れるもの、神式の結婚式のときのBGM…でも実はそのような場面での雅楽演奏は、現代的なものなのだとか。
また、雅楽演奏のイメージでよく見る、前に太鼓が来るフォーメーションも、明治期に固定化されたのだそうです。
ざっくりした雅楽の歴史は、飛鳥ないし奈良に音楽が日本に伝来し、平安ごろには日本風の形が成立、鎌倉期には衰退し、江戸時代にはほそぼそと行われ、明治期に復活という流れだそうです。
こちらものすごくはしょって書いてますので、具体的な話はぜひ、直接うかがえる機会の場で。
(ただここらあたり、若干「刀剣の歴史」と同じように、あくまでも「その世界で語られる歴史」なのかな?と思う部分も…。)
雅楽には「世界最古のオーケストラ」という冠がつくことがあるそうです。
厳密には多少の変化はあるでしょうが、1400年間、奏法等の伝達を行ってきたという意味で。
伝来元の中国では、王朝がかわるごとに音楽も変化した、ということで、古い形を残しているという意味でそのように言うようです。
たとえば雅楽で使う楽器の中で「笙」というもの。
雅楽のほわーんとした和音はこの楽器から生まれてきます。
現代中国の笙を使った演奏映像を見せていただいたのですが、大きく、音もはっきりとしたものに変わっていました。
また、笙は使う前後にあたためる必要があるのですが、あたためつつ演奏できるように、下部に金属のゆたんぽ的な部品も付属し、大変合理的なものに進化しておりました。
雅楽の系統は、大分類して三種ほどあるそうです。
一つ目、神様にささげるための国振歌舞(くにぶりのうたまい)、二つ目、中国や韓国から伝来した大陸系楽舞、最後は貴族のたしなみとして和歌や漢詩を読む平安歌曲です。
大陸系楽曲の中には、舞楽など、舞がセットになっているものがあります。
というか、この話を聞くまで舞楽が雅楽とセットのものだなんて知らなかったよ…美術館で舞楽をやっている図の巻物とか、舞楽面とかは見たことがあったけれど。
このときも青海波を見せてもらったのですが、「舞楽」で動画検索するといろいろ出てきますので、気になる方はぜひ。
徳美で見た巻物の、舞楽踊ってる図ってリアルな図だったのだなとちょっと感動ものでした。
今回、楽器体験は三種類、笙、篳篥(ひちりき)、竜笛です。
(体験用の楽器は、人数分より少し少ないので、使う前にアルコール除菌シートで吹き口を拭いて使いました)
まずは竜笛。
よくイラストなどで、フルートのように穴を押さえている場合がありますが、それはNG。
正しくは、指の第一関節と第二関節の間の部分で押さえます。
奏法によってはその状態から指を少し浮かせたりする場合もあるのだとか。
これが、なかなか鳴らない…
吹き口から、いい感じの角度で息を吹き込まないと鳴らないのです。
ふーっと息を吐きっぱなしにして、講師の方がよこから笛の角度をぐるっとしてくれて、ようやく鳴りました。
篳篥も鳴らすのが難しいです。
吹き口は葦をつぶしたもので、使う前にはお茶につけて開き具合を調整するのだとか。
でも一つずつ、鳴りやすい鳴りにくいがあるそうです…
同じ穴を押さえていても吹き方で出る音が変わるというのはトランペットみたいだなと思いながら聞いていました。
かろうじて鳴ったけれど、どうしたら鳴ったのかよくわからず…
笙は、鳴らすだけなら一番簡単です。
息を吸っても吐いても鳴るので。
ただ、吸う時と吐くとき、音の大きさとかピッチとかころころかわってしまうんですね。
講師の方が吹いているときは、すごく安定していたので、そこが技術なのだなぁという感じです。
加えて、音程をとるのは左手側の動きがメインなのですが、音を変えるときには儀式めいた「決まった手順」があるそうで。
めちゃくちゃ大変…
おもしろいのが、この笙って、管の長さは音の高低と一致しないのだそうで。
講師の方がこの管を引っこ抜いて見せてくれたのですが、裏側にも広い穴が開いているのです。
(引っこ抜けることにもびっくりしました…)
楽器の体験の他、装束の着装体験というのもさせていただきました。
雅楽のときの装束には、狩衣系と直垂系があるということで、両方とももってきていただけました。
(狩衣系といいつつ、肩はあいていないのでこれは直衣(のうし)なのかしら?などと思いつつ。)
着こんじゃうとわからないんですが、袴が神職さんが履くような差袴でした。
直垂は、他の方が体験していたので写真は撮っていないのですが、こういう感じで、袴のひもが白いやつです。
(この写真は翌日小田原城で撮ったやつですね。)
あと、雑談の部類なのですけど、皇室関連の行事や国賓をお迎えするときの西洋音楽の方々、実は雅楽チームと同じ方々が楽器と服装を変えてやっているのだという話がでてきてびっくりしました。
ものすごく手広くやらないといけないの大変なのね…
正直、前提知識がゼロのところに詰め込んだので理解がだいぶ浅い感じがすごいのですが、機会があればまたいろいろ聞いてみたいです。
教えてもらった本も、近いうちに読みたいところ。