お能を見に行こうと思っても、あらすじと謡の現代語訳はthe能ドットコムにあるのですが、それだけだと実際に見に行ったときに「今どこの場面だっけ?」ってなりそうでためらったことありませんか?
というか私はなります。歌舞伎や狂言までなら初見でも何とか意味はとれますが、お能の謡は現代語訳を見た後でも聞き取れません。
お能の台本にあたる謡の本は、実は普通に売ってます。でも知らない人多いんじゃなかろうかと思ってます。私も大きな本屋さんでたまたま見かけるまで知りませんでした。
能狂言の本屋さん【檜書店】の、能・狂言の本棚→観世流・袖珍一番本 と進むと、演目ごとの小冊子を購入できます。お値段的にも薄い本くらいのものなので、購入しやすいかと思います。
ただ、ワンフレーズ調べてみたいというだけであれば、国会図書館デジタルアーカイブ内にも古い版のものがありますので、それを利用してもいいかと思います。大半が草書に近い字体なので、楷書に近い書体のものを探すのが大変ですが。(昭和版が見つけられれば大丈夫なはず)
(そして多分一文字だけは知らないとわからない。「い」の右に点が一つついたようなのは「候」です)
そしてたくさんある演目から気になるものを見つけるのって大変だと思うので、以下、審神者&マスタ―向け演目をピックアップしてご紹介。
多分気づいてないの他にもあります。
小鍛治
いわずと知れた小狐丸誕生物語。
解説35コマ~、本文38コマ~
第六天・土蜘・舎利・小鍛冶・石橋 - 国立国会図書館デジタルコレクション
ミュの「あどうつ聲」の元になった詞の部分は47コマの左側ページあたりから。
鵺
獅子王が贈られるきっかけである源頼政の鵺退治を、退治された鵺自身が語るお話。
解説16コマ~ 本文19コマ~
志賀・鵺・大原御幸・梅枝・誓願寺 - 国立国会図書館デジタルコレクション
土蜘蛛
膝丸の名前遍歴の逸話の一つ、源頼光の土蜘蛛退治のお話。
解説11コマ、本文14コマ
第六天・土蜘・舎利・小鍛冶・石橋 - 国立国会図書館デジタルコレクション
鉄輪
「嫉妬すると鬼になっちゃうよ」な話。剣巻だと頼光四天王の一人である渡辺綱が髭切で倒すお話ですが、お能だと清明による鬼退治になります。
昭和版がみつからなかった代わりに活字がありました。157コマから。
鞍馬天狗
牛若丸が天狗から教えをうけるお話
解説21コマ~ 本文24コマ~
海士・鞍馬天狗・定家・咸陽宮・東岸居士 - 国立国会図書館デジタルコレクション
橋弁慶
牛若丸と弁慶の出会いのお話
解説14コマ~ 本文16コマ~
項羽・橋弁慶・熊坂・小督・野守 - 国立国会図書館デジタルコレクション
八島/屋島
義経の弓流しを題材にしたお話。
絵画作品などでもよく取り上げられる有名な場面らしいです。
解説16コマ~ 本文19コマ~
呉服・八島・鸚鵡小町・葛城・当麻 - 国立国会図書館デジタルコレクション
安宅
歌舞伎のほうのタイトルである「勧進帳」といったほうがたぶん通るやつ。義経&弁慶が山伏の恰好で逃げる最中に安宅の関で止められて、どうにかきりぬけるお話。
解説16コマ~ 本文22コマ~
三輪・安宅・東北・蝉丸・猩々 - 国立国会図書館デジタルコレクション
道成寺
安珍・清姫伝説の後日談。伝説自体は、作中の僧によって語られます。
解説57コマ~ 本文59コマ~
弓八幡・鉢木・羽衣・道成寺・竜虎 - 国立国会図書館デジタルコレクション
大江山
(でもFGO世界では茨城童子のほうに出てくるキーワードだったような。うちのカルデアにはまだどちらもいないのでうろ覚えですが)
解説8コマ~ 本文11コマ~
金札・大江山・岩船・知章・俊成忠度 - 国立国会図書館デジタルコレクション
鷹姫
これだけ現代作品です。なんとクーフーリンのお話。
イエイツ作の戯曲『鷹の井戸』を能にした作品だとか。