とある歴クラ見習い審神者の備忘録

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徳美「祈りのこころ 尾張徳川家の仏教美術」

ものすごくひさしぶりに徳美いってきました。
今回の企画展タイトルは「祈りのこころ 尾張徳川家仏教美術」です。
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去年賛助の日のときに、仏教芸術の企画があると聞いてから楽しみにしていたんですよ。
刀をある程度追いかけてくと、どうしても仏教へも手を伸ばさざるをえないじゃないですか。
でも寺を主体とした展示だと、なかなか基礎部分のフォローをしてくれないので、そのあたりを期待していまして。

今回、蓬左文庫エントランスに解説があったほか、多分頒布予定だった冊子原稿だと思うんですが、解説pdfが公開されていますので、そちらがとてもわかりやすいです。

こっちのツイートの解説画像、他のところにはなかったような。

あと、現地で子ども教室と題した解説シートが配布されていますが、これもポイント解説がわかりやすいです。


とりあえず私は仏教系の話は前提として全く知らないところからのスタートなので、展示に関して深い感想は出せないのですが、今回の展示は『大名家ゆかりの仏教芸術」ということで、寺院系の仏教芸術の展示とは少し趣が異なります。
出てる物の系統がだいぶ違うんですよ。
こう、寺院系のをそんなにたくさん見ているわけではないんですが、大抵の場合はでかい仏像がいくつかあって、仏具があって、ちょこっと経典があって、っていうイメージなんですが、今回のは仏画とお経、フィギュアサイズの仏像があるという感じ。

展示番号5番の紺紙金字細字法華経(附 経筒守)は見た目のインパクトがすごかったです。
ジュースの缶くらいの経筒が付いた小さな紺紙金字経…距離があるから正確にはわからないんですけど、文字は新聞の字か、それよりも小さいんじゃないですかね?
経筒には引っかけるところがついているということで携帯用では?というような解説付き。

展示されている仏像は大半が厨子に入っています。
小さいわ暗いわで見えづらいので、ミュージアムスコープがある人は持って行きましょう。ほりかたが簡素とか丁寧とかあっても肉眼じゃわからないので。
(忘れた人)

この仏像コーナー、一通り正面から見たら、展示物のケース真横から見るとまた面白いです。
厨子の模様がちらっとですけど見えるのですよ。正面から見たときにはどれもほとんど同じように見えるんですが、横から見ると個性的です。

以前何かの機会のときに出てきたおもしろ物品も今回並んでました。
展示番号50番、金銅装笈。勧進帳で背負っているようなやつです。
義経の部下のものと伝わるけどそんなに古くないよというブツ。
戸山屋敷の庭園がらみも、ネタとしておもしろそうな気配がするので、また図録を探したいところ。


今回、刀剣メインの層からみたらひえっとなるものもあります。
企画展の第二部として最後の部屋に、奉納品・副葬品を集めたコーナーがありました。
昭和二十七年に、名古屋市街地の墓所整備の一環で、尾張家二代光友の墓所発掘が行われたのだそうです。
半分くらい朽ちた無銘の大小はまあ、発掘された刀の類いを知っている人はまあ、想像がつくような状態で。
その他にもうふた振り、ちょっとぼろっとしたような、徳美で見掛けるのは珍しいけれど、寺社系だとよくありそうな状態の刀がありましてね。
それも副葬品だったんです。
副葬品だと思うと、相当きれいな状態だったんですよ。
なんですが銘が、来国光と貞宗……
実際そこに出てる物が、当時の観点でどうなのか・今の観点でどうなのかは知りませんが、そんな有名どころを副葬に使うのか、と、びっくりした次第です。


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企画展の話はここまでとして、常設エリアの話。
今回、刀は四点出ていました。
光忠、広助、高木住貞宗は、刀と同じくらいか少し低いところまで目線を下げれば刃文がくっきり見えました。
腰くらいの高さなので、ひょっとして車椅子とかでも見えるのかな?
不動正宗は今ひとつ見えるポイントがわからず。

猿面の茶室がある部屋は、茶室内ギミックボタンはコロナ騒動で封印……ちょっと残念。
次の室礼の鎖の間に飾られた青磁獅子鈕阿古陀形香炉がすごくかわいかったです。
阿古陀形(ひらたいカボチャ形)の上に、玉にじゃれる獅子がいるのです。
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奥道具の部屋では、掃墨物語絵巻が展示されていました。
以前土曜講座で、この絵巻を場面ごとだけでなく全体を物語として解説してもらっておもしろかったんですよ…絵巻物の解説ブックがほしいです。
一場面ごとだけじゃなく、全体を物語として楽しみたいんですよ。
ちなみに、この絵巻物については以前に金鯱叢書でとりあげられています。
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そしてちょうど休館になってた時期の展示だと思うんですが、一つ前の展示期間の絵巻物「青蓮院稚児草紙」って…なにそのタイトルだけであれなブツ…それもストーリーとして全体知りたいんですけど???
(稚児草紙≓稚児と僧との恋物語、です。ざっと調べた感じここのはプラトニック系っぽい?世の中にある稚児草紙の中には印刷所チェックはねられそうなレベルで露骨なやつもあります。日本の歴史やら文学やらは、男同士のあれそれは当然出てくるものなのです…)

徳美のきっさ室、狭いからと宝善亭での特別営業に切り替わっています。
今だけ限定のかき氷「五郎太」をいただきました。
上り羊羹は水ようかん系のやわやわっとしたやつ。わらびもちはもっちもちでした。
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あと今日のお昼は久しぶりのところにいきましたよー。
大曽根から歩いてくるときの高架下すぎたあたり。ハワイアンダイナーhulihuli。
このボリュームの日替わりが780円なのです。
徳美自体も久しぶりなんですけど、そのしばらく前頃も、なかなかランチタイムに通りがかることが少なくなってたので、本当に久しぶりでした。
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ということで、ひさしぶりの美術館ログでした。

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